本記事は、無料で利用できる音楽アプリを解説・ご紹介します。
一昔前まではApp Storeにも無名/有名の様々な音楽アプリがありましたが、違法音楽アプリ追放の流れや大手音楽サブスクサービスがフル再生無料のサービスを次々リリースしたことにより、状況は変わってきました。
今回は、現在App Storeで実際に配信されている音楽アプリで、「無料」で「フル再生」ができる手段をすべてご紹介いたします。かつて配信されていたMusicBox・MusicFMの現状や、YouTubeを音源とする「YouTube系音楽アプリ」のリスクについて、また新しく登場した「Kingbox」など「ファイル管理アプリ」を使った音楽再生など、詳しく解説します。
もくじ
日本国内で利用できる無料機能付き音楽アプリ一覧
日本国内で利用できる音楽アプリは大きく分けて
- 合法系サービス
- YouTube系アプリ
- 違法系アプリ
- ファイル管理系アプリ
の4種類に分けることができます。そのうち、「合法」と呼ばれるものは、レコード会社などから配信許諾を受け、再生回数分アーティストに収益が発生するサービス。
「YouTube系」はYouTubeにアップされている動画を、アーティスト単位でまとめたり、楽曲の検索機能を有するもの。中にはYouTubeの規約違反となるバックグラウンド再生までできるアプリもあります。
「違法」系アプリは、違法にアップされた楽曲をアプリを経由して再生・ダウンロードさせるものでアプリ開発者側も、利用するユーザー側も法的に違法となるアプリ。
最後の「ファイル管理アプリ」は「何故音楽アプリ?」と思われるかもしれませんが、YouTubeなどの動画サイトから動画をダウンロードする機能があり、さらにアプリ内で音楽のみのファイルに変換する機能もあります。ユーザーの中にはこれらの機能を使って音楽を聴くためのサービスとして利用している方もいます。
以下より、それぞれ詳しく解説します。
合法の音楽サービス一覧
▼まず、いわゆる「合法」となる音楽アプリ・サービス一覧です。
アイコン | 無料フル再生 | 月額料金(通常プラン) | 初回3ヶ月無料 | |
Apple Music(詳細) | ✕ | 980円 | ◯ | |
Spotify(詳細) | ◯ (シャッフル) |
980円 | ◯ | |
LINE MUSIC(詳細) | ◯ (1曲1回/月) |
980円 | ◯ | |
Amazon Music(詳細) | ◯ (シャッフル) |
980円(Prime会員780円) | ✕ | |
YouTube Music(詳細) | ◯ (動画) |
980円 | ✕ |
実はこれらのアプリでも一定の制限はつくものの、無料でフル再生できる機能やサービスが(ほぼ)実装されて来ています。(詳細)
YouTube動画を利用する音楽アプリ一覧
▼そして、これらが2020年9月時点、アプリストアに存在するYouTube動画を取得し、ユーザーに「音楽サービス」として提供するアプリ。
アイコン | バックグラウンド再生 | ダウンロード | |
Music RFM(詳細) | ◯ | ✕ | |
Music Box | ◯ | ✕ | |
Music LIST Z(詳細) | ◯ | ✕ | |
MixerBox(MB3)(詳細) | ✕ | ✕ | |
Music HD(詳細) | ◯ | ✕ |
これらのアプリはストアから削除・再表示が頻繁に行われ、ある時・ない時がありますが、ストア上には常に一定数存在しています。また、ユーザー側の違法性は低いものの、YouTube側の利用規約に反しているため、使用リスクは完全にゼロではありません。
また、再生ごとに動画ファイルを受信している可能性があるため、通信量が過大になることがあります。(詳細)
違法音楽アプリ一覧
▼いわゆる「違法」系のアプリ一覧。多くが中国のサーバーにアクセスし、楽曲をダウンロードさせるもの。
アイコン | バックグラウンド再生 | ダウンロード | |
Music Song(詳細) | ◯ | ◯ | |
MusicBeat(詳細) | ◯ | ◯ | |
MusicBox(詳細) | ◯ | △ | |
Music FM(詳細) | ◯ | ◯ | |
Moodsayings(詳細) | ◯ | ◯ | |
MusicPod(詳細) | ◯ | ✕ |
多くのユーザーにとって馴染みのあるアプリ名もあるかと思いますが、これらアプリはいずれもストアから姿を消しており、なおかつ再浮上もしていない状況。おそらくストア側も徹底的な排除を行ったようです。(詳細)
また、完全に消えたとされていたMusicFM系の最新版が何食わぬ顔でApp Storeに登場し、削除されない状態のまま継続して配信されている状況です。(詳細)
ファイル管理系音楽アプリ一覧
▼そしてこちらが、音楽ファイルの保存・再生に最適化されているファイル管理・ダウンローダーアプリ。
アイコン | バックグラウンド再生 | ダウンロード | |
Kingbox.(詳細) | ◯ | ◯ | |
mixdata(詳細) | ◯ | ◯ |
一見これらのアプリは、端末内やPCなどにあるファイルと同期・管理するアプリとして表示されていますが、アプリ内に内蔵されているブラウザからYouTubeなどにアクセスすると、そこで表示されている動画をアプリ内にダウンロードすることができる機能が実装されています。
更に、動画ファイルを音声ファイルに変換する機能もあり、ネットユーザーの間では、このアプリで動画を取得後、音楽ファイルに変換、プレーヤーとして利用しているユーザーが多くいます。(使用は自己責任)(詳細)
合法でフル尺が完全無料で聴ける音楽アプリとその方法
以下にて、無料のフル尺再生を合法で行うことができるアプリとその方法についてご紹介します。
「合法で」とありますが、基本的には無料で音楽を楽しむ手段として最も「あるべき姿」であり、これら以外の方法で無料で音楽を聴くことはYouTubeで動画を見ること以外ありません。
アマゾンの『Amazon Music Free』
アマゾンの音楽アプリといえば、「Amazon Music Unlimited」がメインサービスですが、音楽需要の高まりに対応する形で、フル尺無制限再生の「FREE」版サービスをリリースしました。
アマゾンへの会員登録のみで利用でき、フル楽曲を無制限で聴くことができますが、自らで選曲することはできず、「強制シャッフル」で聴き流すスタイルになります。また、楽曲の合間に広告も挿入されます。
▼Amazon Music Freeを使って無料で音楽を聴く詳細については、こちらの記事を御覧ください。
LINEの「LINE MUSIC フリー」
LINE MUSICでも無料でフル尺を聴くことができるサービスを展開しています。
ただし、どの曲も1ヶ月に1回のみの再生となっており、特定の曲をリピート再生することはできません。とはいえ、Amazon Music Freeのような強制的なシャッフルも無いため、好きなアーティストの新曲を「無料でいち早く聴きたい」という要望は「LINE MUSICフリー」にて叶えることができます。
▼LINE MUSICのフリー版についての詳細は以下の記事をご参照ください!
Spotifyの無料プラン
無料のフル尺再生サービスで一番「歴」が長いのがこのSpotify。
Spotifyの場合も、会員登録を行うだけでフリープランを利用することができますが、Amazon Music Freeと同じ仕様で、強制シャッフル&広告挿入という条件下でフル尺再生を行うことができます。
▼Spotifyのフリープランでフル尺再生を利用する詳細は、こちらの記事を御覧ください!
初回に長期間の無料お試しがある音楽アプリ
永久無料ではありませんが、サービス利用開始当初、3ヶ月という長期間で通常有料のサービスを無料で利用できるサービスがあります。
Apple Musicの初回3ヶ月無料
Appleが提供する「Apple Music」では、初回3ヶ月間、無料で全楽曲のダウンロードし放題・聴き放題を利用することができます。
iPhoneとApple Musicは同じ会社が開発しているサービスだけに連携の快適さは凄まじく、一度Apple Musicを利用開始すると、他の音楽サービスは検討外になるかもしれません。
また、3ヶ月の間に解約をしたとしても、その間の料金は発生しませんので、気軽な気持ちで無料トライアルを使用することができます。
▼Apple Musicの無料トライアルを活用する方法の詳細はこちら。
▼Apple Musicのダウンロードはこちら。
LINE MUSICの初回3ヶ月無料
LINE MUSICでも初回3ヶ月無料を利用することができます。
LINE MUSICの場合は、フリープランとこの3ヶ月無料とをうまく使うと、最初に3ヶ月無料を利用してみて「無料版でいいや」ということであれば、フリープランで使い続ける、という選択肢もあります。
「YouTube系音楽アプリ」。それらは違法?リスクは?
一時期、その数も減りつつ合った「YouTube系音楽アプリ」ですが、違法アプリ「MusicBox/FM」がAppStoreから淘汰されてから、再度その数を増やしつつあります。
YouTube系音楽アプリの利用は違法?
現行法では、「違法にアップロードされたものをダウンロードすること」という定義があり、YouTubeにオフィシャルでアップされているものについては、「違法アップロード」に当たらないため、現実に罪に問われる可能性は高くはないでしょう。
YouTube側の利用規約に抵触する可能性
YouTubeの利用規約に「YouTubeが提供する方法以外でダウンロード等しないこと」(参照)とありますので、これらのアプリで(ダウンロードしないまでも)YouTubeを閲覧することは利用規約に違反する可能性があります。
今後、YouTube側の仕様変更でこれらのアプリが一斉に使えなくなる可能性もあります。
「Music FM」や「MusicBox」などの有名違法アプリ。現在は?
かつては、登場すればAppStoreの1位に堂々と居座り、中高生の音楽との接触点がほとんどこのアプリではないか?と思われたほどの知名度・ダウンロード数があった「MusicBox」と「Music FM」。
今現在は、それらの姿をApp Storeで確認することはできず、一部のTwitterユーザーがApple IDを貸し出す形でインストールの案内をしたり、「AppCake」という非脱獄でできる設定ツールを使用して無理やりインストールする方法がありますが、いずれも違法リスク以上の危険性があるため、そこまで広まってはいない印象。
最後に出た「Music FM・MusicBox」は?
現在確認できる範囲で、App Storeに登場した最後のMusicBox・Music FMは2020年12月から登場した「MusicSong」というアプリ。
配信開始から一定期間の非表示がありながらも結局2021年1月の年明け以降も配信が継続されていた状態。しかしながら、営業日を迎える4日頃から非表示となり、それ以降ストアに姿を表さなくなりました。
この「Music Song」はMusic FM/Box旧バージョンからの誘導があり、一時的にApp Store無料ランキングの1位にまでなりましたが、以降は沈黙。とはいえ、旧バージョンから変わらず、新曲の楽曲更新が行われておらず、レビュー欄には冷めた書き込みが目立った配信となったようです。
【注意】MusicBox・Music FMの利用は現在でも違法の可能性
配信・更新が停止したMusicBox・Music FMですが、現在でも楽曲を再生はできるようです。もし再生できたとしても、違法アップロードされたものの可能性が極めて高いため、ストリーミングでも再生は控えた方が良いでしょう。
ファイル管理系アプリで音楽のダウンロードは違法?リスクは?
一見、音楽アプリには見えない「ファイル管理系アプリ」ですが、なぜこれらが音楽アプリとして重宝されているかというと、「YouTubeから動画をダウンロードできてしまうため」です。
さらに、動画から音声ファイルへの変換もでき、そのおかげでバックグラウンド再生も可能になるという機能付き。
ダウンロード機能で音楽アプリとして利用する人、多数。
▼このようにSNSにてKingboxの使い方を音楽アプリとして紹介する人が多数おり、
▼なおかつ、ダウンロードすると、以後の再生に通信量がかからないため、毎月の通信容量を圧迫しないというメリットで使用しているユーザーもいる状況。
ファイル管理アプリでYouTubeのダウンロードは違法?
現行法ではやはり、「違法にアップロードされたものをダウンロード」とありますので、アプリ・ツールがどれであっても、YouTubeにオフィシャルでアップされたものをダウンロードして個人で楽しむ範囲であれば、違法・リスクは高くないと言えます。ただし、YouTube系音楽アプリと同様に、YouTubeの利用規約には抵触するため、YouTube側から訴えられる可能性もあります。
以前はClipboxというアプリが担っていた機能
この手のアプリは以前から存在しており、「Clipbox」というアプリがその機能を提供していました。ただし、YouTubeの仕様変更などが重なったためか、いつしかYouTubeからの動画ダウンロードができなくなり、その名前は消えていくことに。
その後、後継となるアプリ「Kingbox」も
▼実はClipboxと同じ開発者が提供しており、
今後、YouTubeとこの手のアプリとの「イタチごっこ」が続いていくと囁かれています。
『Music FM 連続再生』などを利用するリスクとは
当サイトで主にMusic FMなどのアプリを「自己責任系アプリ」と表現しています。
その表現を行う理由は、このアプリが配信の許諾を得ずに無料で(従来購入すべき)楽曲を配信しているため、利用の先に何が起こるかをほのめかしています。
ではずばり、Music FMを利用して逮捕や賠償請求される可能性があるのか無いのかの部分ですが、
可能性はあります。
2年以下の懲役若しくは 200万円以下の罰金
場合によってはこの2つを合わせて食らってしまうケースも考えられます。刑罰としてはかなり重い部類に入るかと思います。
これらは、2012年10月1日に施行された著作権法の改正によって違法ダウンロードの刑事罰化が開始されています。(参照)
キーは違法だと知りながら利用すること、ですが
では、どのような状態になったら刑事罰が適用されるのか。
条文では、「私的使用の目的をもって、有償著作物等の著作権又は著作隣接権を侵害する(中略)デジタル方式の録音又は録画を、自らその事実を知りながら行って著作権又は著作隣接権を侵害」とあります。
この条文を読んだときに、
「そうか!「違法だとは知らなかった!」と言えば良いのだ!」
と思った方もいらっしゃるかもしれませんが、そんなに大人は甘くありません。
立件する際には入手経路・過去におけるSNSでの発言などがチェックされるため、このアプリの利用の認識を徹底的に調べられるでしょう。
この記事を読まれている時点で、上記の「知らぬ存ぜぬ」は通用しない可能性が高いです…。
Music FMの『利用者』だと断定される可能性・方法は?
まず、移り変わるMusic FMのバージョンごとにMy Musicの履歴を移し替えるためTwitterとの連携を行っていた場合、Twitter側に「Music FM」の利用者がデータ化されています。
権利者が裁判所を介してTwitterに対しMusic FMの利用者リスト提供を要求し、Twitterがそれに応じた場合、Twitterから権利者側に利用者のデータが開示される可能性があります。
その場合、権利者からダイレクトな著作権違反の追求を受ける可能性があります。
同じような考え方でAppleがダウンロードユーザーの情報提供、ドコモ・au・ソフトバンクなどの通信キャリアやインターネットサービスプロダイバーからのIPアドレス情報や音楽ファイルの配信をしているサーバーへの接続者の開示によって
簡単に「利用者」としての
断定を受ける可能性があります。
大人の本気って怖いですね…。
ちなみに、音楽ファイルの配信元サーバーはこちらの記事での調査にて明らかになっています。
まとめ
いかがでしたでしょうか?
今回は、音楽アプリも様々なものが出回る中で、「本当の意味で無料で利用できるもの」をまとめさせていただきました。
公式の合法サービスは
- 無料!その代わり強制シャッフル・1回のみ!
という条件。
それ以外のサービスは、現行の著作権法かYouTubeの利用規約に反するリスクを伴うものばかり。
また、著作権法・YouTubeの利用規約の前に、その作品を制作したアーティストに「印税が入らない」という点がやはりいちばん問題ではないでしょうか。
現状存在する手段はご紹介しましたが、良識のある読者様は基本的に合法の音楽サブスクサービスを利用し、フリープランと有料プランをうまく使い分け、「無料」で利用できる範囲を活用していただければと思います!