本記事は、iPhoneの「トラッキング」について解説します。
最近、iPhoneを使用していると「アクティビティの追跡を許可しますか?」「トラッキングの許可をしますか?」というポップアップが表示されることが増えたと思います。
今回は、iPhoneの「トラッキング」について、アクティビティ追跡許可の時のメリット・リスク・デメリット、実際に追跡・収集されるデータの内容について解説します。
もくじ
「アクティビティの追跡」と「トラッキングの許可」とは?
「アクティビティの追跡」「トラッキング」とは、その人にあった広告を表示するためにどのようなサイトを閲覧していたかなどの情報を収集することです。
iOS 14.5からトラッキングを許可するかどうかアプリごとに選択することができるようになったため、ポップアップを目にすることが増えました。
「Appトラッキングしないよう要求」を選択するとどうなるか
このポップアップで、「Appトラッキングしないよう要求」を選択するとどうなるのでしょうか。
まず、アプリ上での行動がアプリ側に提供されなくなります。それまでは今アクセスしているユーザーがどのようなアプリ/ウェブサイトを閲覧していてどのようなアクションをしていたか、などを開発者が統計的に確認することができましたが、そのような情報が提供されなくなります。
このことにより行動や興味に関連した広告が表示されなくなります。その分、自分と関連のない広告が表示されるようになります。
TwitterやTikTokなどSNS系のアプリ/サービスは固定の場所・タイムラインに広告があり、それらに表示される広告はそれまでの行動を参照していたものでしたが、これ以後、自分と関連する内容ではなくなります。
Appトラッキングを「許可」するとどうなるか
Appトラッキングを「許可」するとどうなるのでしょうか。
どのサイトを閲覧していたのかなど、端末の行動が匿名データでアプリ開発者に提供・収集されるようになります。後述する「サードパーティ広告」が含まれるアプリについては、そこで取得された情報が他のアプリでも適用されることとなります。
ただし、このことにより、広告の内容が行動が興味に連動するので、興味のない広告ばかり表示されて煩わしいと感じる方は「許可」する方が良いかもしれませんね。
Appトラッキング設定をあとから変更する方法
これまで、なんとなくAppトラッキングに関するポップアップを許可してしまっていた、あるいは許可をしない設定にしてしまっていたという方も多いかもしれません。
このAppトラッキング設定はあとからでも変更することが可能です。
▼設定からプライバシーをタップします。 ▼トラッキングをタップします。 ▼すべてのトラッキングを許可したくない場合には、「Appからのトラッキング要求を許可」をオフ(灰色)にします。▼オフにしようとすると確認されますので、Appにトラッキングの停止を要求をタップします。▼オフになりました。▼アプリごとに個別で設定したい場合にはアプリの横にあるスイッチをオフにします。▼この場合、Instagramは許可されていましたが、トラッキング要求を許可しなくなりました。
Appトラッキングを「許可」していた時の危険性とは
Appトラッキングを「許可」すると、何か危険性はあるのでしょうか。
基本的に「許可」していても個人情報やID・パスワード、金融関連など、知られたらまずい情報が漏洩することはありません。(ただし、開発者がハッキング・攻撃を受けて情報を取得・盗まれてしまう場合を除く)
端末IDや別文字列に置き換えられたIDにWebや各アプリでの行動履歴がまとめられ、広告を出稿する側のターゲティングの情報のために使用されるだけです。広告の表示に必要な情報だけが使用されるということですね。
ただしAppトラッキングを許可したアプリに対しアカウント作成などを行うために直接個人情報を入力した場合、個人名と行動・入力データなどがセットで保存されている可能性があります。
それらが漏洩した場合、自分の趣味趣向などがネット上に流れ出てしまう可能性もないとは言い切れないでしょう。そのため、アカウント作成などを行う際にはそのアプリ提供社が大手であるかどうか、厳格なプライバシーポリシーを持っているかどうかの確認は必要です。
海外の怪しげな企業のアプリであれば、Appトラッキングの許可はしないようにすることをお勧めします。
アプリが取得するプライバシー情報とその解説
アプリの追跡で取得される情報はアプリごとに異なります。アプリが取得する個人情報の中身とその使い方・使いみちはApp Storeでアプリ情報から確認することができます。
▼AppStoreの「Appのプライバシー」欄から確認することができます。
「サードパーティ広告」とは
「サードパーティ広告」とは、そのアプリ提供社とは別の広告専門の企業が提供する広告ツールのことです。匿名化しながらもアプリの利用内容を横断的に追跡し、ユーザーに関連のある広告内容を表示しています。
たとえば、楽天のアプリを見たあと、それ以外のアプリを使用している時に楽天の広告が表示されるなどで、勝手に第三者からトラッキングされるプライバシーの観点から近年では規制されつつあります。
「デベロッパの広告、またはマーケティング」とは
アプリ開発・提供をしている企業が自社の広告ツールやマーケティングのために情報を匿名化して収集していることです。
LINEやYahoo、楽天などは1つの企業が複数のサービスを運営しており、その場合、一つのアカウントから興味ありそう・登録できそうな自社サービスを提案することがあります。そのようなときはデベロッパ自身の広告・マーケティングとしてトラッキングされた情報が利用されることがあります。
そのため、「サードパーティ広告」と比較すると、
- サードパーティ広告:複数社・サービスを横断的に追跡される
- デベロッパの広告/マーケティング:開発社のサービスのために追跡する
となるため、後者のほうがより内輪向け・利用範囲が狭い、という印象を受けるかもしれません。
とはいえ、収集している情報・やり方は同じとなるため、あまり大きな差異はないのが現状です。
「アナリティクス」とは
「アナリティクス」とはデータを収集し分析することです。アプリを利用するユーザーの状況からアプリの開発者が分析を行います。
アプリの全体的なユーザー動向を把握するため、アプリには分析用のツールが実装されており、開発者はユーザーの利用状況などを分析し、改善や次のアプリの開発に生かしています。
ここでも取得される情報は特定のユーザーを一つ一つ追うようなものではなく、利用者全体を俯瞰して観察し、利用時間・ページ・行動・傾向を確認できるものとなります。
広告用の追跡・トラッキングなどと比較すると、用途は完全に開発者のみのものとなります。
まとめ
今回は「アクティビティの追跡」と「トラッキングの許可」について解説しました。なんとなく怖い気がしてしまいますが、個人情報などが提供されるわけではなく、表示される広告が変わるためのものなので、基本的には許可をしても問題はありません。
しかし、気になる方は許可しないことも可能です。理解したうえで判断をするようにしましょう!
ただし、昨今は広告のターゲティング技術も日夜進歩しており、ユーザーの行動をトラッキングせずともその他で取得できるデータを使って細かくユーザーを分類し「興味があるだろう」ジャンルの広告を表示させる技術が進んでいます。