ChatGPTの新機能により、誰でも簡単に「ジブリ風」の画像を生成できるようになりました。
この技術の進化は多くの人々の創作意欲を刺激し、SNS上では様々なジブリ風画像が流行しています。
しかし、その裏には著作権問題や法的リスクが潜んでいます。
本記事では、ChatGPTを使ったジブリ風画像の作成方法と、それに伴うリスクについて詳しく解説します。
もくじ
ChatGPT 4oによるジブリ風画像作成の基本手順
必要な準備と基本的な操作方法
ジブリ風画像を作成するには、まずChatGPTの最新モデルである「GPT-4o」を利用する必要があります。この機能は先日まで有料プランのユーザー向けに提供されていましたが、2025年4月以降無料のユーザーにも一部制限付きで利用開放されています。
また、Chat GPTの画像作成機能は無料ユーザーでも1日3回まで利用することができるようになり、今現在誰でもジブリ風の画像を作成することができます。
まず、ChatGPTアプリを開き、モデル選択から「GPT-4o」を指定します。これにより、高度な画像生成機能が利用可能になります。この新機能では、テキストプロンプトだけでなく、既存の画像をアップロードしてそれをジブリ風に変換することも可能です。
写真をアップロードしてジブリ風画像を作成する方法
画像アップロードとプロンプト入力
- ChatGPTのチャット画面を開きます。
- 写真をアップロードする機能が有効になっていることを確認します。
- 写真アップロード機能は、画像生成専用のインターフェースで利用可能です。
- アップロードした写真に対して、「ジブリ風にして」と指示します。
- 例: 「この写真をジブリ風の温かみのあるタッチで描いてください」など具体的な説明を追加すると、よりイメージに近い結果が得られます。
画像の調整
- ChatGPTが指示を受け取ると、数分でジブリ風画像を生成します。
- 生成された画像がチャット画面に表示されます。必要に応じて以下のような修正指示を追加できます:
- 「もう少し明るくしてください」
- 「背景を森に変更してください」
- 「色彩を柔らかなパステル調にしてください」。
画像のダウンロード
満足できる仕上がりになったら、生成された画像をダウンロードします。ダウンロードした画像はSNSで共有したり、個人的なプロジェクトで使用することができます。
効果的なプロンプトの書き方
ジブリ風の画像を生成するには、プロンプト(指示文)の書き方が重要です。「〇〇をジブリ風にして」といったシンプルな指示でも十分効果的ですが、より具体的な指示を加えることで、望み通りの画像に近づけることができます。
例えば、「この写真をスタジオジブリの『千と千尋の神隠し』の世界観で描き直して」といった具体的な指示を出すことで、より特定の作品に近い雰囲気を出すことが可能です。オープンAIのサム・アルトマンCEOも自身のプロフィール写真をジブリ風に変更しており、その影響力の大きさを示しています。
画像のさらなる活用法
生成されたジブリ風イラストをさらに発展させたい場合、アニメーションにする方法もあります。静止画から動くアニメーションを作成することで、より魅力的なコンテンツに仕上げることができます。こうした応用は、SNSでの注目度をさらに高める効果があります。
作成した画像にアニメーションを付ける方法
ジブリ風画像の生成
ChatGPT-4oを使用して、ジブリ風の画像を作成します。プロンプトに「ジブリ風にして」と入力し、必要なスタイルやディテールを指定します。
アニメーション化ツールの選択
作成した画像を動かすには、専用のアニメーションソフトやAIツールが必要です。以下が推奨されるツールです:
- Runway ML: AIベースの動画編集ツールで、静止画から短いアニメーションを生成可能。
- Adobe After Effects: 手動で動きを追加する場合に最適。
- D-ID: 静止画に表情や動きを加えるAIツール。
画像の準備とインポート
ChatGPTで生成したジブリ風画像をダウンロードし、選択したアニメーションツールにインポートします。
動きの設定
Runway MLやD-IDなどでは、自動的に動きを生成できます。具体的な動き(例えばキャラクターが歩く、風が吹くなど)を設定する場合は、Adobe After Effectsなどでキーフレームを使用して手動で調整します。
エフェクトと仕上げ
動きに合わせて背景や光の変化などのエフェクトを追加し、よりジブリらしい雰囲気を演出します。
動画としてエクスポート
完成したアニメーションをMP4やGIF形式でエクスポートし、SNSやプロジェクトで利用します。
注意点
- 著作権問題には注意が必要です。ジブリ風画像はオリジナル作品ではないため、商業利用には適さない場合があります。
- 無料版ChatGPTでは画像生成回数が制限されます。(1日3回まで)
Chat GPTでジブリ風画像作成に伴うリスク
著作権に関する懸念
ジブリ風画像の生成には、著作権に関する複数の懸念があります。まず理解すべき点は、「ジブリ風」という絵柄自体はアイデアの範疇であり、必ずしもスタジオジブリの著作権を直接侵害するものではない可能性があるということです。
しかし、問題はそれだけではありません。元となる画像や写真を変換する場合、その元画像の著作権を侵害している可能性があります。例えば、報道写真をジブリ風に変換した場合、その写真の撮影者の著作権を侵害しているとみなされる可能性が高いです。
また、AIによる学習データの問題も存在します。アメリカのメディアからは、オープンAIがスタジオジブリの作品をAIに学習させているのではないかとの指摘も出ています。
AI学習データに関する問題
生成AIの学習データに関する問題は複雑です。文化庁の「AIと著作権に関する考え方について」の文書によれば、「当該作品群の創作的表現が直接感得できる場合、当該生成物の生成及び利用は著作権侵害」となる可能性があります。
つまり、生成された画像がジブリ作品の特徴的な表現を直接的に模倣していると判断された場合には、著作権侵害となる可能性があるのです。しかし、この判断基準は非常に曖昧で、一般ユーザーが正確に判断するのは難しいと言えます。
ネット公開に伴うリスク
法的な観点からの問題点
生成したジブリ風画像をネットにアップロードする際の法的リスクも看過できません。基本的に、アニメのキャプチャ画像をネットにアップすることは著作権法的に原則NG(違法)とされています。
これは非商用利用であっても、SNSのアイコンとして使用する場合でも、たった1コマだけのアップでも、原則として変わりません。また、原作の宣伝になるような態様での利用であっても、法的には原則NGとされています。
実際の運用と黙認の実態
実際には、多くの権利者が「普通に」使用している分には黙認(お目こぼし)している例が多数あります。これはコミケにおける同人誌販売と同様の状況と言えるでしょう。
しかし、この状況は利用者側と権利者側の双方を不安定な立場に置いています。利用者側としては、「権利者からNGと言われるかもしれない、著作権侵害という指摘を第三者から受けるかもしれない、時には炎上するかもしれない」というリスクを常に背負いながら、アップするか否かを決断しなければなりません。
リスク軽減のための対策
リスクを軽減するための対策としては、以下のようなことが考えられます:
- 商用利用を避ける
- 画像が生成AIによるものであることを明記する
- オリジナル作品への敬意を示す言葉を添える
- 権利者から指摘があった場合は速やかに対応する
ただし、これらの対策を講じたとしても、法的リスクが完全になくなるわけではないことに注意が必要です。
批判的視点と倫理的配慮
創作とリスペクトの境界線
ジブリ風画像の生成と公開には、創作の自由と著作権尊重のバランスが重要です。スタジオジブリは独自の世界観と表現スタイルで多くのファンを魅了してきました。その作風を模倣することは、一方では敬意の表れとも言えますが、他方では創作者の権利を侵害するリスクも伴います。
利用者側としては、画像のアップに伴うリスク評価がおよそ不可能であり、一般の個人はともかく、企業や知名度の高い個人が気軽にネットにこうした画像をアップロードして利用することは難しい状況にあります。
今後の展望と規制の可能性
今後、AIによる著作物の生成と利用に関する規制や法整備が進む可能性があります。実際、スタジオジブリは2023年11月に自社作品の場面写真の提供を開始し、「常識の範囲でご自由にお使いください」という鈴木敏夫氏の手書きメッセージとともに一種のオープンライセンスの取り組みを開始しています。
しかし、これはあくまで公式に提供された素材についてのライセンスであり、AIで生成したジブリ風画像に適用されるものではありません。AIで生成したコンテンツについては、今後もさまざまな議論が続くでしょう。
まとめ
ChatGPTを使ったジブリ風画像の作成は、技術的には容易になりましたが、法的・倫理的な観点からは多くの課題を抱えています。創作活動を楽しむ一方で、著作権や知的財産権への理解と尊重も忘れないようにしましょう。
最終的には、「常識の範囲」で利用することが重要です。技術の進化とともに、私たちの倫理観や法的理解も進化させていく必要があります。楽しみながらも、責任ある形でAI技術を活用していきましょう。